文化財建造物の保存修理は、文化財としての価値を損ねないよう、慎重に調査し修理方針を検討しなければなりません。このため国庫補助を受ける保存修理工事においては、あらかじめ文化庁の承認を受けた「主任技術者」が設計監理を行います。
主任技術者は、実測調査、資料調査など各種調査を行い、実測図、調書、写真などの記録を作成します。これに基づき、解体範囲や部材の取り替え、部材の補修方法などについて、的確に判断し指示を行います。このように主任技術者は、保存修理全般にわたり重要な役割を果たします。
現在主任技術者として承認を得ることができる保存修理技術者の数は、全国に130人程度います。当協会には、このうちの半数以上に当たる約80人が勤務しています。
保存修理工事報告書
国宝・重要文化財建造物の保存修理工事が終了後、各工事毎に工事の詳細を記載した保存修理工事報告書を作成します。この報告書は、当該文化財建造物の将来の保存修理工事の重要な資料となるとともに、保存修理技術者に配布され類例の保存修理の参考に供されます。文化財建造物保存技術協会には、過去の報告書の大半が大切に保管されています。
保存図
国宝・重要文化財建造物の保存修理工事では、将来の保存修理のため工事終了時の建物の手書きで保存図を作成します。大きさは全版です。