工事進捗情報 2013.11.11
名称 | 諸戸家住宅 |
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指定区分・年 |
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所在地 | 三重県桑名市太一丸18番地 |
所有者 | 財団法人 諸戸会 |
諸戸家住宅6棟は、平成31年度の完成を目指した修理工事を行っています。以下ではそのうち「玉突場」「表門」について、工事の一部をご紹介します。
玉突場は内外ともに木部の破損が著しかったので、建物を全て解体し、破損部分を繕って再び組み立てる「解体修理」を行うことにしました。さらに、現状では天井の形や屋根の材料が当初と違っていましたが、解体を通じて元の様子が明らかになりました。
解体前の玉突場外部
従来の破損に加え、平成16年の台風を受けて屋根や庇が大破してしまいました。
庇の屋根
修理前の建物を見ると、屋根は赤いトタン葺でしたが、正面の庇には石綿スレートが葺かれていました。従って屋根の材料も本来は庇と同じであった可能性があるので、その証拠がどこかに残っていないか探しながら、注意深く解体する必要がありました。
解体が進んだ玉突場内部
解体した部材のうち、傷んでいない部分は再び利用するので、建具や内装、屋根や柱など全ての部材に番付を振って、丁寧に解体しました。床板を解体すると、今は現存しないビリヤード台を支える石の束が現れました。
屋根の野地板
屋根のトタンを解体すると、野地板が現れました。すると現在使用されていない釘穴と、板の角が当たったような痕跡が見つかりました。やはり屋根も石綿スレート葺であったことがこれでわかりました。
諸戸家の建物は庭園内に建っているため、工事に必要な重機が進入できません。そこで現状の門を曳屋し、重機の搬入経路を確保しました。
曳屋前の表門
総欅造りの門の両脇には袖塀が取り付きますが、古写真や図面によって、袖塀は戦後に建て替えられたものであることが分かっています。袖塀を解体すると、柱両側面に当初の塀の痕跡が残っていました。
揚屋・回転完了
袖塀を解体した後、門を鉄骨で支えながら約20cm揚げました。しかしその状態で門を曳くと庭園内の樹木に当たってしまうので、90度回転させました。
曳屋中
元の位置から定着位置へレールを敷き、その上を約30m移動させました。
曳屋完了
定着位置にコンクリート盤を設置し、門を定着させました。コンクリートからワイヤーを引き付けて建物が倒れないようにしています。