文化財建造物に蓄積された歴史
文化財建造物に蓄積された歴史、絶対的な美しさ。
さらには、投入された高度な技法。
今日にいたるまで、多くの日本人はその存在に感銘を受け、
現代建築にまで影響は及んでいる。
先人たちは、そうした価値を体験的に知っていた。
だからこそ数百年の長きに渡って
保存修理の技を磨き、維持してきた。
現代に生きる私たちも、その志を受け継いでいる。
たとえば大規模なら150年ごと、小規模なら数十年から100年ごと。
いまこの瞬間も、日本のどこかで保存修理が行われている。
大工・葺師・左官・塗師。色あせ、朽ちかけた姿を甦らせていく。
保存修理を担うのは、現場の匠だけではない。
削る前に、組む前に、塗る前に。
どの時代の、どんな姿に戻すのか。
もともとの形は、色は、そして先人たちの保存修理の履歴は。
時には柱の傷ひとつから、数百年の歴史をさかのぼる。
そして期間から費用まで、計画を綿密に練り上げる。
保存修理のための設計をし、技術指導を行う専門家。
文化財保存修理技術者。
我々には文化と伝統技術を受け継ぎ、次代に託す使命がある。